害虫は、大きく分けて衛生害虫、農業害虫、不快害虫の3種類に分類されます。
衛生害虫とは?
衛生害虫とは、厚生労働省が薬事法で定めた蚊(幼虫、成虫)、ハエ(幼虫、成虫)、ノミ、トコジラミ、イエダニ、屋内塵性ダニ類、ゴキブリ類、そして最近仲間入りしたマダニ類等をいい、病気を媒介して人の疾病の原因となるなど、衛生上の損害を与える昆虫類などです。
これらの害虫を駆除または防止する薬剤には、医薬品もしくは医薬部外品の認可が必要です
ダニ類
農業害虫とは?
農業害虫とは、農作物(園芸作物も含む)に病気をもたらす害虫をいい、ハダニ、アブラムシ、ヨトウムシ、ニカメイチュウ、ネキリムシ等が含まれます。
これらの害虫を対象とした薬剤には農薬登録の必要があります。
不快害虫とは?
不快害虫とは、衛生害虫、農業害虫以外の、人に不快感を与える害虫をいいます。 この中には、木材害虫、貯蔵食品害虫、衣類害虫も含みます。
害虫としては、アリ、チャタテムシ、ムカデ、ダンゴムシ、シロアリ、カメムシ、ユスリカ、イガ、コイガ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、キクイムシ、ナメクジ等です。
衣類につく虫
米びつでよく見られる虫
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研究室だより
害虫対策情報
ダニについて
ダニには、植物の葉等につくハダニ、山野や農耕地等に生息し、動物に寄生する吸血性のマダニ、ネズミに寄生するイエダニ、家の中で人のフケ、アカやハウスダストを餌にするチリダニ、家の中で他のダニやチャタテムシ、人の体液を吸う刺咬性のツメダニ、食品や畳につくコナダニ、人間等に寄生するヒゼンダニ等がいます。
これらの中でチリダニ、ツメダニ、コナダニは屋内塵性ダニと呼ばれ、アレルギーの大きな原因の一つになっています。 ここではこの屋内塵性ダニについて説明します。
ダニの種類 | 特徴 |
チリダニ類 | ヒョウヒダニ類とも呼ばれ、代表的なものにはヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニがいます。 家の中にいるダニのほとんどはこのダニで通常は人に危害を与えませんが、アトピー等アレルギー体質の人にはぜんそく、鼻炎、蕁麻疹の原因となります。 人のフケやアカ、ハウスダスト(室内塵)を餌にし、布団、枕などの寝具、カーペット、畳等につきます。 成虫は非常に小さく約0.3mmで、肉眼ではほとんど確認できません。 コナヒョウヒダニの詳細はこちら → コナヒョウヒダニ |
コナダニ類 | 穀類、穀粉、七味唐辛子、砂糖、粉ミルク、チョコレート、ビスケット、干した果実、煮干し、かつおぶし、味噌など数多くの食品に繁殖加害します。 コナダニ類の中で、最も広範囲の食品に高率に見いだされるケナガコナダニについて説明します。 ケナガコナダニの成虫の体長は0.5〜0.8mmで、温度、湿度などの条件が良ければ2週間以内で1世代を繰り返します。 食品以外にカビも餌とするため、梅雨時期の湿度の高いときに畳にカビが発生し、そのカビを餌として大量にケナガコナダニが発生し、畳表面が白くなることがあります。 これもチリダニと同様アレルギーの原因となります。 また、コナダニが大量発生すると、次にこれを食べる刺咬性のツメダニが発生しますので注意が必要です。 ケナガコナダニの詳細はこちら → ケナガコナダニ |
ツメダニ類 | ツメダニはチリダニやコナダニ、チャタテムシなどを捕食し、繁殖します。 また、人を刺して、皮疹を起こす例もしばしば知られており、特にアレルギー体質の人は1週間かゆみが続きます。 新築マンションなどでかゆみの被害が発生することがありますが、これはツメダニが原因となっているケースが多いようです。 6〜10月に発生しますが、特に8〜9月に被害が多くなります。 湿度が高く、カビ、コナダニ類が大量発生するときは要注意です。 代表的なものにはクワガタツメダニ、ミナミツメダニなどがいます。 クワガタツメダニの詳細はこちら → クワガタツメダニ |
衣服につく虫(衣類害虫)について
代表的な衣類害虫は、小さな蛾の仲間であるイガ、コイガと、甲虫(カブトムシ、コガネムシ等)の仲間であるヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシの4種類です。 これらの害虫はすべて幼虫期に衣類を食べます。
イガについて
25℃下で1世代に約55日間を要し、1年に2〜3世代を経過します。 幼虫で越冬し、成虫は5月上旬ごろから10月ごろまで連続的に見られますが、おもな発生時期は初夏から初秋にかけての時期で、産卵もこのころに集中します。
被害にあうものは、動物の毛、獣皮、羊毛、羽毛、冷凍乾燥標本などで、動物質のものだけを摂食し、植物質のものは摂食しません。
イガの詳細はこちら → イガ
コイガについて
春から夏にかけて1回目の成虫が発生し、秋までに3〜4世代を繰り返します。 幼虫で越冬し、春に蛹になります。 1世代の長さは25℃下で40日前後です。
被害にあうものは、毛類、羽毛、羊毛、装飾した家具類、ピアノフェルト、天然剛毛、メリヤス布などです。 イガは動物質でしか成育できませんが、コイガは植物質でも生育できます。
コイガの詳細はこちら → コイガ
ヒメカツオブシムシについて
1年に1回発生し、5〜6月ごろから翌春4〜5月ごろまで幼虫期で過ごし、この間に被害をもたらします。 被害にあうものは、動物性繊維(羊毛、動物の毛、絹、羽毛)、フェルト、革、書籍の表装などです。
ヒメカツオブシムシの詳細はこちら → ヒメカツオブシムシ
ヒメマルカツオブシムシについて
1年に1回発生し、5〜6月ごろから翌春4〜5月ごろまで幼虫期で過ごし、この間に被害をもたらします。 被害にあうものは、動物性繊維(羊毛、動物の毛、絹、羽毛)、フェルト、革、書籍の表装などです。
ヒメマルカツオブシムシの詳細はこちら → ヒメマルカツオブシムシ
コクゾウムシ
コクゾウムシは、穀類の害虫としてよく知られています。
通常の気温条件では、1世代に約1〜2ヶ月を要します。冬には成虫で戸外の物の下や石の裏側などに潜伏します。 春に気温が15℃以上になれば、越冬場所から這い出して庫内に入り、穀物に孔を開け、そこに卵を産み付けます。
孵化した幼虫は穀粒内のデンプンを食べて成長します。3回脱皮し、蛹化し、羽化成虫となり、2日位して穀粒内から脱出します。
当初は、赤褐色ですが、次第に黒褐色となり産卵を始めます。
コクゾウムシの詳細はこちら → コクゾウムシ
ノシメマダラメイガ
ノシメマダラメイガは、ノシメコクガまたはマメマダラメイガとも呼ばれ、熱帯地方に多く、わが国には、戦後、外米の輸入とともに侵入したものです。
現在では、全国的に各種の食品(穀類をはじめ、乾燥した果実、野菜、小麦粉などの穀粉、第二次加工品の菓子類、木の実、チョコレート、鳥のえさなど)を加害し、広く一般に知られています。
とくに食害は大きくありませんが、商品性を著しく損傷させることでは、ガ類の害虫の中では第一位とされています。
通常、年間3〜4回の世代を繰り返します。 老熟した幼虫態で薄い繭の中で越年し、翌年の春に蛹化、羽化して発生を繰り返します。
ノシメマダラメイガの詳細はこちら → ノシメマダラメイガ
このコーナーでは、家屋内やお庭でよく見かける害虫類についての情報をお届けします。
どうしてもお友達にはなれない害虫たち。 映像はあまり見たくないですね。
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